あるレビューがXで1400万PVを記録した【切なくてオシャレな終わり方】のAV

まず前提として、ゆづる・こなつ・みなみは同じコンビニでバイトするバイト仲間であり、こなつとみなみは２人ともゆづるの事が好きである。しかし、ゆづるには彼女がいる事から２人とも手は出してなかった。バイト後、ゆづる・もう一人の男友達・こなつ・みなみの４人で家飲みをしてるシーンで恋愛の話になったが、女性２人とも彼氏無し・出会い無しと発言していた事からお互いにゆづるの事が好きであるという事はこの時は知らなかったと推測できる。
しかし、翌日急に２人の態度が変わり…ゆづるが出勤した際にみなみが１人で遊んでいたジェンガが崩れてしまい「あんたのせいで崩れた」と何故か八つ当たりを食らう。そしてバイト終わり、こなつとみなみがゆづるの所に来て「今からアンタん家行っていい？」とみなみに言われ…ギクシャクした雰囲気のまま３人でゆずるの家に行くことになった。

というのも、恐らく前日の飲み会後にこなつからみなみに「実はゆづる君の事が好きなんだよね」と打ち明けられたのだ。
ゆづるの家で３人で話してる内容から察するに、
①前日の飲み会終わり、もう一人の男友達がこなつに告白した
②こなつは一旦保留にし、この事をみなみに相談
③その際、実はゆづるの事が好きであると打ち明ける
という事が推測できる。
しかしどうだろう。例えば同じ人を好きになってしまった場合、先に打ち明けた方に優先権が与えられるのではないだろうか。しかも、そこで「私も好き」と言えなかった場合、もう応援するかその子が玉砕するまで待つか…という後手に回る以外の選択肢を失ってしまう。
その考察を踏まえた上で見ると、先ほどのジェンガが崩れて「あんたのせいで崩れた」と言った事に納得がいく。
みなみ自身の動揺と、もういつものようにこなつ・ゆずると楽しくいられる日々は無くなってしまったという、関係性の崩壊。
それがジェンガという何気ない玩具で表現されてる点が非常にオシャレで、まさかコレがAVだなんてこの序盤では想像もつかないと思う。


次に、みなみはここからこなつを早々に玉砕させる作戦を取ったのではないかと個人的には思う。
飲み会に来ていた、もう一人の男友達がこなつに告白したという話題から急にみなみが言った。
「こなつ、アンタとヤりたいって。」
ちょっと意地悪にも聞こえたが、こう言い出す事によって「アンタはヤりたいの？ヤりたくないの？」という究極の二択を迫る事が出来る。
恐らくみなみはここで
・ゆづるは彼女がいるからヤる事は出来ない
・こなつも奥手だから迫る事が出来ない
・ヤる事が出来ない＝振られる
と踏んで、「じゃあ後は二人で話して」
とその場をあとにした（フリをして玄関外で待機）。
しかしコレが誤算だった。
みなみが部屋に戻ると、全裸でピロートークしてた。つまりドチャクソにヤっていたのだ。
ここで「うわぁマジか…。」と部屋を後にすれば、それこそ自分だけが蚊帳の外になってしまう。
もうここでの選択肢は、自分もヤる以外に無かった。
「別にアンタとヤりたいって訳じゃないんだからね！ こんなの見せられたら…ムラムラするに決まってんじゃん！」と言って迫っていたが、
いやお前が部屋に入って来たのが悪いやんけｗ とは思った(笑)

そして、みなみともＳＥＸをするという所までがチャプター１の内容である。
いやぁ、非常に濃いチャプター１だ。
ＡＶはＨシーンに重きを置いてあるため、序盤の会話などのシーンは本当に必要最低限の内容に限られている。
しかし、今作はその少ない情報からユーザーがそれぞれ自分に合った解釈でストーリーを補完し、より楽しめるという希有な作品である。

ジェンガの下りは最後のチャプターにも出てくるので、その時にも考察を書こうと思う。

ゆづるに彼女がいる事を知りながら、浮気を繰り返していた３人。
３日目の朝、みなみが切り出した。
「アンタ彼女と別れんの？彼女と別れて、私かこなつのどっちか選べんの？」
これに対しゆづるは黙り込んでいたが、こなつが核心を突く一言を放った。
「ゆづるさんは誰も好きじゃないんです。身体だけの関係で割り切れないなら、もうやめましょう。」
もし彼女の事が本当に好きだったらこなつ達とはSEXしないし、こなつかみなみが好きならさっきの質問にも答えられるはず。だが、どれもしない。
つまりゆづるはここまで全て【なんとなく】で来てしまった。
思い返せば、こなつとの最初のSEXもこなつが迫ってきたから行ったし、みなみも同じだった。

そして、身体だけの関係だと割り切った３人は再び３Pを始めた。
ここで一つ変化があったのが、こなつとみなみでキスをしていた点だ。
今まではしていなかったのに、最後のチャプターでは結構キスしていた。
これは、個人的には
今までは恋のライバル的な難しい距離感の関係にあったけど、身体だけの関係と割り切ってしまった事によって２人の確執のようなものが解消された事による仲直りに近い何かだと感じた。
こなつがみなみに「可愛い」と素直に言ってる所も印象的だった。


そして、エピローグへと移る。
コンビニのシーンになり、こなつがレジ、みなみが事務所でジェンガをしていた。
すると、あの【もう一人の男友達】が来店してきた。
「いやぁ、まさか俺の告白、OKしてくれると思わなくて…」
なんと、こなつとその男が付き合ったのだ。
その瞬間、ゆづるが出勤してきてレジで楽しそうに話してる２人を覗き見ていた。
「あの二人、付き合ったらしいよ」
この言葉にどこか寂しいような表情を浮かべたゆづるだったが、こなつの目線はその男ではなく覗き見ているゆづるの方に向けられていた。
そして、みなみがゆづるに「ん！ん！」とジェンガをやるように言って…

みなみ「次は崩すなよ」
ゆづる「崩したのはお前だろ？」
と言って作品が終わる。


このエピローグの最後のジェンガについて。
こなつとみなみはゆづるの心の中に入り込もうとして、それまで保っていた関係が崩れてしまった。
しかし、最終的には上辺（身体）だけだと割り切る事によって３人の関係は再構築された。
それはゆづるが優柔不断であったが故に奇跡的に釣り合ってしまったトランプタワーのようなものであり、
逆に、ゆづるがこなつかみなみのどちらかの事を好きになってしまうとこの関係が一気に崩れてしまい、多分次崩れたらもう二度と戻すことは出来ない。
だから、ここでみなみが言った「次は崩すなよ」は自分の恋の諦めも入った暗喩であり、全員が身体で結ばれ、心で結ばれないという切ない結末を迎えたのだと思った。