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AVの「とりあえず生」問題(レビュアー:うりのふ)

2件のコメント

居酒屋で最初の注文を聞かれる。
すると誰かが言う。

「とりあえず生で」

別に生ビールが一番好きなわけではない。
本当はハイボールが好きかもしれないし、日本酒が好きかもしれない。
それでも生ビールが選ばれる。
なぜなら、

外れにくい、説明がいらない、定番である、誰も困らないからだ。
私はAV市場にも、これと似た現象がある気がしている。

「とりあえず生」問題である。
(※記事内では以下、性的演出としての「生」をこの表記で統一する)

もちろん、この要素が人気なのは事実だろう。
私もその事実自体を否定したいわけではない。
しかし気になるのは、 人気だから入っているのか、それともとりあえず入れているのかという違いだ。

作品の魅力と結末が一致していない
例えばマッサージ作品を考えてみる。
このジャンルの魅力は何だろう。

施術の雰囲気、手技、距離感、徐々に崩れていく緊張感

こうした部分に魅力を感じている人も多いはずだ。
しかし実際には、最後は「生」へ収束することが少なくない。
もちろん、それ自体が悪いわけではない。
問題は、

本当にその作品に必要だったのか

である。
もしマッサージの空気感が作品の中心なら、最後までその魅力を突き詰める選択肢もあるはずだ。
それでも定番要素が追加される。
ここに私は「とりあえず生」と同じ匂いを感じる。

人気要素は保険になる
市場競争が激しくなると、作品は失敗できなくなる。
すると制作側は、

少しでも売れそうな要素

を積み始める。
これはAVだけではない。

映画なら有名俳優。
ゲームならオープンワールド。
漫画なら異世界転生。

人気要素には保険としての価値がある。
だから本来は作品の核ではなかった要素が、

入れておいて損はないもの

へ変わる。
「生」も、そのような保険要素として機能している場合があるのではないか。

人気と保険は同じではない
ここで重要なのは、

人気があること

保険として採用されること

は違うという点だ。
居酒屋で大量の人が生ビールを頼む。
しかしそれは、
全員が生ビールを最も飲みたいからとは限らない。
「無難だから」
「外れないから」
という理由も混ざっている。

市場ではしばしば、
人気と安心感が区別されなくなる。
AVでも同じことが起きているかもしれない。

保険はなぜ増え続けるのか
さらに厄介なのは、保険が自己増殖することだ。
制作側はユーザーの頭の中を見ることができない。
見えるのは結果だけである。

ランキング。
売上。
人気作品。

そこで制作側は考える。

売れている作品には何が共通しているのだろう。

そして人気作品に「生」の要素が多ければ、
その要素を真似したくなる。
だが本当にその要素が売上を生んだのかは分からない。

人気女優だったのかもしれない。
宣伝が強かったのかもしれない。
別の魅力が評価されたのかもしれない。

それでも市場は共通点を模倣する。
結果として、
「生」の要素はさらに増える。
増えれば増えるほど、
ますます重要な要素に見える。

こうして保険は自己増殖していく。

要素が表現ではなく保険になる
以前、私は

タグが分類ではなく広告になった

という話を書いた。

本来タグは作品を整理するためのものだった。
しかし供給過多の市場では、
検索に引っかかるための広告へ変わっていく。

今回の話も似ている。
本来ある要素は、

その作品だから必要

だったはずだ。
しかし市場競争が激しくなると、

入れておけば安心

へ変わる。
表現だったものが保険になる。

「とりあえず生」が増える市場
この現象はAVだけではない。

YouTubeには似たサムネイルが並ぶ。
ゲームには似たシステムが搭載される。
映画には似た展開が増える。

なぜか。
市場が保険を求めるからだ。

外したくない。
埋もれたくない。
失敗したくない。

その結果、

とりあえず入れておこう

が積み重なる。
すると作品は少しずつ似ていく。

人は本当にそれを求めているのか
ランキング上位だから人気。
採用率が高いから人気。

私たちはそう考える。
しかし本当にそうだろうか。
人気だから選ばれているのか。
それとも、
選ばない理由がないから選ばれているのか。

その違いは意外と大きい。

居酒屋の「とりあえず生」が増え続けるほど、本当に飲みたかったものは見つけにくくなる。

作品も同じかもしれない。
市場が保険を積み重ねるほど、本来その作品だけが持っていた魅力は見えにくくなる。

そして私たちはそれを見て、
「人気だからだ」
と説明してしまう。

だが本当は、
人気だから増えたのではない。
外したくないから増えたものも、そこには含まれているのかもしれない。

中野

最近のAV業界は規制もどんどん激しくなっていって、表現の幅も狭まっているからなおさらね…(´;ω;`)

うりのふニキの元記事はコチラ👇
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note(ノート)
AVの「とりあえず生」問題|うりのふ 居酒屋で最初の注文を聞かれる。 すると誰かが言う。 「とりあえず生で」 別に生ビールが一番好きなわけではない。 本当はハイボールが好きかもしれないし、日本酒が好きか...

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コメント

コメント一覧 (2件)

  • 現代ではその問題に加えて本当に生なのか、発泡酒ではないのか、いやこれはリキュールであろう、私は見せかけのノンアルドライでもよい。むしろよい、という論争も(以下略

  • 生なら生であることに意味を持たせて欲しいんですよね。
    作品のコンセプトに合わないなら生すらいらないです。

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